体験談⑨何もできない時間が、必要だった

うつ病の体験談

まずはじめに

この体験談について

それまで当たり前だと思っていた日常が、
心の不調をきっかけに、大きく揺らぐことになりました。

これは、立ち止まることになるまでの過程を、
当時の記憶や感覚をたどりながら綴った体験談です。

いくつかの記事に分けて、お話しできればと思っています。

心の疲れを感じるあなたへ

  • 自分や身近な人の心の不調が気になっている方
  • 仕事や人間関係の中で、どこかしんどさを抱えながら日々を過ごしている方

ここでは、正解や答えを示すわけではありません。

ただ、読み進める中で、
「ひとりじゃなかった」と感じるきっかけや、
立ち止まって自分を見つめる時間が生まれたらいいなと思っています。

途中から読んでも大丈夫です。
しんどいときは、そっと閉じてくださいね。

語り手について

いまの私

過去にうつ病の診断を受け、しばらく療養していましたが、
現在は症状が落ち着き、数年が経っています。

いまの私は、当時フタをしていた自分のしんどさを、
あの頃よりも落ち着いた気持ちで振り返られるようになりました。

今回は、休職中の、
何もできないと感じていた時のことです。

当時の私は、「これをやれば楽になる」というような明確な方法を持っていたわけではありません。
それでも、できる範囲で、自分なりに過ごし方を探していました。

ここでは、その中でも印象に残っていることをお話しします。

何もできない時間が、必要だった

① フラッシュバックする感情と、少しだけ向き合ってみた

本当に、「少しだけ」です。

フラッシュバックを解決しようとするのではなく、
あのとき感じた感情や、抑え込んでいた気持ちを、ただ知ろうとしていました。

怖かったね。
つらかったね。
悔しかったね。

そうやって、浮かんでくる言葉をそのまま受け止めていくと、自然と涙が出てきました。

それでも、「自分なりにやれることはやってきたよね」と、
ほんの少しだけ、自分の味方になってみる。

自分の感情と向き合うとき、
「思ったことをそのまま書き出すといい」と本で読んだことがあって、
ノートに飾らず、思うままに書き続けていました。

きれいにまとめる必要はなくて、
ただ、頭の中にあるものを外に出すような感覚でした。

② 散歩をするための“きっかけ”をつくった

「天気のいい日は外に出て、日光を浴びてみてください」

そうアドバイスをもらっても、
正直なところ、当てもなく歩くことに気持ちはなかなか向きませんでした。

そんなときに使ってみたのが、ピクミンブルーム というアプリです。

ゲーム感覚で歩けるので、
「散歩しなきゃ」ではなく、「ちょっとやってみようかな」と思えるようになりました。

もともとキャラクターに詳しかったわけではありませんが、
それでも十分楽しめて、毎日の中に小さな楽しみができました。

“歩くこと”そのものではなく、
“歩くきっかけ”をつくることが、自分には合っていたんだと思います。

③ 飾らずにいられる人とのつながりを持つ

ノートに気持ちを書くことで、
自分が何を感じているのかは、少しずつ見えるようになっていきました。

ただ、それだけでは追いつかないほど、
心が揺れる出来事もありました。

そんなとき、誰かに話を聞いてもらうことは、
当時の私にとって、とても大きな支えでした。

「大変だったね」
「しんどかったね」
「よくやってきたね」

そうやって言葉をかけてもらうことで、
一人ではたどり着けなかった感覚に、少しずつ触れていけた気がします。

以前、本で
「うつは一人で抱えるものではなく、周りと一緒に向き合っていくもの」
という言葉を見かけたことがあります。

そのときはピンときませんでしたが、
今なら、その意味が少しわかる気がします。

自分の気持ちを否定せずに受け止めてくれる存在は、
安心できる場所を少しずつ広げてくれるような感覚がありました。

④ お金の不安と向き合った

体調が不安定な中で、もう一つ大きかったのが「お金」に対する不安でした。

働けないかもしれない。
このまま収入が減ったらどうしよう。

そういった現実的な心配は、気持ちの不安定さにもつながっていたように思います。

私はその不安を少しでも軽くしたくて、
使える制度がないかを自分で調べていました。

たとえば、傷病手当金 のような制度も、
そのときに初めて知ったものの一つです。

会社が詳しく教えてくれるわけではなかったので、
必要な書類を確認したり、手続きを進めたりと、できる範囲で動いていました。

正直、余裕がある状態ではありませんでしたが、
「何もわからないまま不安でいる」よりも、
「少しでも知ることで見通しが持てる」ほうが、自分には合っていたように思います。

現実的な不安に目を向けることも、
自分を守るための一つの行動だったのかもしれません。

今振り返って思うこと

診断を受けた直後の私は、
「何もできない時間」をどうにか抜け出そうとしていました。

動けない自分を変えようとして、焦って、空回りして。
そしてまた、できなかったことに落ち込む。

そんな繰り返しの中にいました。

でも今振り返ると、
あの時間は「抜け出すもの」ではなく、
「通り過ぎるもの」だったのかもしれないと思います。

無理に動こうとしなくても、
少しずつ、自分のペースでしか進めない時期がある。

そして、そのペースの中でしか気づけないことも、確かにありました。

感情と向き合ってみたこと。
小さなきっかけで外に出てみたこと。
誰かとつながることをあきらめなかったこと。
現実の不安に、できる範囲で目を向けたこと。

どれも当時は、
「これでいいのかな」と思いながらやっていたことばかりです。

それでも、そうした一つひとつの積み重ねが、
当時の自分を支えてくれていたように感じています。

大きく変わろうとしなくてよかった。
以前の自分に戻ろうとしなくてもよかった。

あの時間の中で、
「こうでなければいけない」という力を、
少しずつ手放していけたこと。

それが、今の自分につながっているのかもしれません。

こうした小さな積み重ねの中で、
少しずつ「この先どうしていこうか」と考える余裕も生まれてきました。

その一方で、
「また同じことになったらどうしよう」という不安も、静かに現れてきます。

次回は、そんな
「社会復帰を考え始めた頃の不安と葛藤」について、
当時の気持ちを振り返りながら綴っていきます。

ゆぅほ

はじめまして。ゆぅほです。
心の絶不調をきっかけに、 無理を重ねてきた生き方を見直すようになりました。
「自分だけじゃなかったんだ」と、力を抜いて、読んでもらえたらいいなと思って、書いてます。

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