まずはじめに
この体験談について
それまで当たり前だと思っていた日常が、
心の不調をきっかけに、大きく揺らぐことになりました。
これは、立ち止まることになるまでの過程を、
当時の記憶や感覚をたどりながら綴った体験談です。
いくつかの記事に分けて、お話しできればと思っています。
心の疲れを感じるあなたへ
- 自分や身近な人の心の不調が気になっている方
- 仕事や人間関係の中で、どこかしんどさを抱えながら日々を過ごしている方
ここでは、正解や答えを示すわけではありません。
ただ、読み進める中で、
「ひとりじゃなかった」と感じるきっかけや、
立ち止まって自分を見つめる時間が生まれたらいいなと思っています。
途中から読んでも大丈夫です。
しんどいときは、そっと閉じてくださいね。
語り手について
いまの私
過去にうつ病の診断を受け、しばらく療養していましたが、
現在は症状が落ち着き、数年が経っています。
いまの私は、当時フタをしていた自分のしんどさを、
あの頃よりも落ち着いた気持ちで振り返られるようになりました。
今回は、
病院に行くことを葛藤していた頃の話です。

病院に行く、という選択肢が浮かんでは消えた日々
「最近、ちょっと疲れているだけ」
そう言い聞かせながら、私は毎日をやり過ごしていました。
いま振り返れば、心も体も限界に近づいていたのに、
当時の私は“病院に行く”という考えが頭をよぎっては、
そのたびに立ち止まってしまっていたのです。
決心がつかなかったのは、
ひとつではなく、いくつもの不安が重なっていたからでした。
今回は、あのとき私の中にあった
「病院に行けなかった理由」を、少し整理して書いてみようと思います。
理由①「病院に行くのは大げさなんじゃないか」と思っていた
朝起きるのがつらい。
仕事のことを考えるだけで、胸が重くなる。
今まで普通にできていたことに、やたらと時間がかかる。
それでも私は、
「この程度で病院なんて、大げさじゃない?」
「もう少し休めば戻るかも」
そう自分に言い聞かせながら、
近くの病院を調べては、そこで手を止めていました。
当時の私の中には、
病院に行く=よほど深刻な状態
というイメージが、どこかにあったのだと思います。
転んで骨が折れた、とか。
風邪をひいて熱が出た、とか。
そういう“はっきりした症状”がない自分は、
いったい何をどう説明すればいいんだろう、と。
機械でスキャンして、
心の状態が目に見えるわけでもない。
こんな曖昧な不調を、
本当に相談していいのだろうか。
そんな思いが頭の中を行ったり来たりして、
病院を検索しては、予約を取る勇気が出ず、
なかなか次の一歩を踏み出せませんでした。
理由②「もし“何か”と診断されたらどうしよう」という不安
「相談するだけでも、してみようかな」
そう思って、心療内科やメンタルクリニックを検索してみたことは、何度もあります。
口コミを読み、場所を確認し、診療時間を見て──
それでも、最後の「予約する」ボタンだけは、どうしても押せませんでした。
もし本当に、診断名がついたら。。。
仕事はどうなるんだろう。
明日やろうとしていたタスクは、誰がやる?
進行中のプロジェクトは、どうなってしまう?
周りには、どう思われるだろう。
期待はずれだったと、がっかりされる?
「迷惑ばかりかける人」だと思われてしまう?
そんな想像が、止まりませんでした。
これまで積み上げてきたものが、
一気に止まってしまう気がして。
頑張ってきた時間まで、
全部無駄になってしまうような気がして。
この状態を「病気」だと認めてしまったら、
もう元の場所には戻れない。
そんな感覚が、私を強く縛っていました。
とにかく、怖かったのだと思います。
診断名そのものよりも、
それを受け入れた瞬間に、
自分が“弱い人間”だと証明されてしまうようで。
その現実を、
まだ直視する勇気が、ありませんでした。
理由③その後の現実(仕事・周囲)を考える余裕がなかった
病院で診断を受ける、ということは、
そのあとに職場への説明が必要になるということでもありました。
仕事を休む理由。
通院していること。
「大丈夫?」と声をかけられたとき、なんと答えればいいのか。
それを想像しただけで、
「今の私には無理だ」
そう感じてしまっていました。
こんなタイミングで、自分のことを優先するなんてできない。
このプロジェクトが落ち着いたら病院に行こう。
もう少しだけ、耐えればいい。
そう思おうとする一方で、
これ以上頑張って、
これ以上無理をして、
もし症状がもっと悪くなってしまったら──
そのとき、私はどうなってしまうんだろう。
責任感と恐怖のあいだで揺れ続けて、
考えれば考えるほど、
何も決められなくなっていきました。
まとめ|「行くことができなかった」のは、葛藤の積み重ねがあったから
病院に行ったほうがいいのではないかと思いながら、
当時の私はなかなか行動に移せずにいました。
おそらく3ヶ月ほど悩んでいたと思います。
「この程度で行っていいのか」という迷い。
「もし診断名がついたら」という恐怖。
そして、診断を受けたあとの仕事や周囲との関係を考える余裕のなさ。
いくつもの不安が重なり合って、
前に進みたくても進めない状態になっていたのだと思います。
当時の私は、
「もう少し頑張れば乗り越えられるかもしれない」
という気持ちと、
「このまま無理を続けたら壊れてしまうかもしれない」
という恐怖のあいだで、ずっと揺れていました。
そして、その揺れが限界に近づいたとき、
私はようやく病院へ向かう決断をします。
けれど、診察室で医師から言葉を告げられた瞬間、
私の頭は真っ白になりました。
次回は、
「うつ病です」と診断を受けた、その日のことを、
当時の心の動きとともに振り返ってみたいと思います。


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